『物語の役割』 小川洋子:著 筑摩書房:刊
『物語の役割』 小川洋子:著 筑摩書房:刊
この本は、
昨年の秋に図書館司書さんと訪ねていった
『BACH 京都分室 鈍考 donkou/喫茶 芳』https://donkou.jp/
の本棚で手にとった一冊です。
私設図書室ですので、借りることも買うこともありません。
詳しくは→kissa_fang
こちらを主宰するBACH代表 ブックディレクターの
幅 允孝(#yoshitaka_haba)さんには、
2011年に当店へお越し頂いたことがありました。
『思わず本を手にしたくなる、空間作りや伝えかた』をされています。
さて、『物語の役割』の〈第三部 物語と私〉では、
小川さんは、ご自身の子どもの頃に得た読書体験から、
小学校入学時に不器用だった自分を、
自らがつくった物語が救ってくれたという経験について、書かれています。
そこに本がなくても、
かつて物語に出会ったことで救われることがあるのを、
大人になって経験している私にとっては、
先月から
「作家さんを招きたい」という閉校前の保護者会企画を応援する理由で、
読書タイム・勝手に読み聞かせ訪問~ を行いました。
すると、
児童の皆さんと絵本を一緒にたのしんでいる自分が、
また、救われているんだなぁと、気がつきました……。
出版社公式HPよりーーーーー
たとえば、非常に受け入れがたい困難な現実にぶつかったとき、
人間はほとんど無意識のうちに自分の心の形に合うように
その現実をいろいろ変形させ、
どうにかしてその現実を受け入れようとする。
もうそこで一つの物語を作っているわけです。
あるいは現実を記憶していくときでも、
ありのままに記憶するわけでは決してなく、
やはり自分にとって嬉しいことはうんと膨らませて、
悲しいことはうんと小さくしてというふうに、
自分の記憶の形に似合うようなものに変えて、
現実を物語にして自分のなかに積み重ねていく。
そういう意味でいえば、
誰でも生きている限りは物語を必要としており、
物語に助けられながら、どうにか現実との折り合いをつけているのです。
数学者が、偉大な何者かが隠した世界の秘密、
いろいろな数字のなかにこめられた、すでにある秘密を探そうとするのと同じように、
作家も現実のなかにすでにあるけれども、
言葉にされないために気づかれないでいる物語を見つけ出し、
鉱石を掘り起こすようにスコップで一所懸命掘り出して、それに言葉を与えるのです。
自分が考えついたわけではなく、
実はすでにそこにあったのだ、というような謙虚な気持ちになったとき、
本物の小説が書けるのではないかという気がしています。
ーーーーー出版社公式HPより
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