和歌山県の山の中にある小さな本屋
イハラ・ハートショップについて
大阪枚方市に伯父夫婦が営む本屋(イケモト書店)が、ありました。そこへやってきた村人から「うちの村にも本屋があったらええのに・・」と望まれ、1986年(昭和61年)、旧美山村に唯一の本屋が誕生しました。 当時、伯父からつねづね聞かせてもらっていたことは、「一度やめたら二度とできない場所で 本屋をしている」ということ。やがて、さまざまな事情により取次販売会社(株)トーハンとの新刊書店契約を引き継いで、1995年(平成7年)、イハラ・ハートショップと名前をかえて開店しました。この山村に本屋を存続させるのだ、という使命感だけでの出発でした。
数年たつと、本屋に遠い地域の子達に、もっといろいろな本に触れて読ませてあげたい、という熱心な学校の先生達との出会いから独自の『出張選書会』がはじまり、『絵本遠足』でと、小学校の地域学習で来店してくれた際には、選書会と読み聞かせもしました。「この絵本のもとの絵って、きれいやろなあ」という子どもの声に、『絵本原画展』を企画。本を開いて嬉しそうに「あ、原ゆたか先生。ここにいてるで」と話す子ども達の声に、『作家ご本人との出会い』の企画をと、出版社や取次会社の皆さん地元新聞社などに協力をあおぎ、イベントを重ねてまいりました。ほかに、母校などに本を寄贈したいという個人や団体からの『寄贈図書』の依頼もありました。すると、10年、20年前に当店のイベントに参加した子ども達が、今ではイラストレーターや司書という職業についていること。県外で著者に再会した感激も、聞き及ぶようになりました。
近年、伯父夫婦の本屋開業ノートに『よい本をたのしく選ぶ』という記述を見つけました。2022年(令和4年)で、27年の山の本屋。 人口減少。インターネットの普及。コロナ禍の影響などで地域のお店としてできることが限られていますが、こうした先人の思いを重ね、本を介して、地域に支えられ育てられてきた感謝を次世代へ繋ぎたいと思っています。
店主 井原和義 店長 井原万見子
商品のお支払いは、現金、図書カード、地域振興券などでお願いいたします。